Aug 27, 2009

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 [ベルリン/ローマ/パリ 11日 ロイター] トリシェ総裁に後を引き継ぐ次期欧州中央銀行(ECB)総裁にドラーギ・イタリア中銀総裁がなる可能性がここ数週間高まっている。ユーロ圏当局者からは、ドラーギ総裁でほぼ決まりとの声もでている。

 当局者らは匿名を条件に、2カ月前にウェーバー独連銀総裁が次期ECB総裁レースから離脱して以来、ドラーギ氏に対抗し得る有力候補は出てきていないと話す。

 ドイツ政府当局者が、数人の候補のなかでドラーギ氏が最もふさわしいと考えている兆しがみられることも追い風だ。

 ウェーバー氏の突然の離脱にユーロ圏の一部の国では憶測が飛び交ったが、関係筋によると、ドイツ政府には次期総裁はドイツ人、あるいは北ヨーロッパ出身者であるべき、というこだわりはないようだ。

 あるドイツ政府高官は、金融安定理事会(FSB)議長としてのドラーギ氏の功績を称え「われわれは、国籍という範疇を超えて適格者を考えている」としたうえで「単にドイツ人という理由で候補を立てるわけにはいかない。別の候補がイタリア人だという理由で不適格ということにはならない」と述べた。

 メルケル独首相はここ数週間、原子力発電所の取り扱い、リビア情勢、ユーロ圏ソブリン債務危機への対応に追われ、ようやく次期ECB総裁人事に関心を向けつつあるところだ。

 ドラーギ氏以外の候補は、リーカネン・フィンランド中銀総裁、メルシュ・ルクセンブルク中銀総裁、ウェリンク・オランダ中銀総裁、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の責任者レグリング氏。

 トリシェ総裁の任期は10月末まで。次期総裁は6月末までに決定する見通しだが、一部当局者は決定が遅れる可能性を指摘している。

 <かぎはメルケル独首相>

 適切な決定を下すのが極めて重要だ。ECBは、欧州共通の機関として最も強力な存在になったことはほぼ間違いなく、2008年の世界金融危機以降、危機対応で批判の矢面に立ってきた。

 ECBは前週、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルなどの経済・財政問題がくすぶり続ける中、ほぼ3年ぶりの利上げに踏み切った。

 今後の利上げ決定、緊急流動性供給措置を終了するタイミングの見極め、さらにECBの政策を懐疑的な政治家や世論に説明し納得させるには洗練された外交スキルが求められる。

 結局、次期総裁人事は、フランスなどの大国が異議を唱えないかぎり、メルケル独首相の一存で決まるとみられる。

 ウェーバー氏の離脱後、メルケル首相の意中の人物は深くしまい込まれ、予想は難しくなっている。

 しかし、情勢はドラーギ氏に傾きつつあるようにみえる。

 あるユーロ圏の小国の当局者は、メルケル首相をはじめドイツ側から他候補を擁立しようとする兆しはみられない、とし、ドラーギ氏の次期総裁選出は確実と述べている。

 フランスの政府高官は、ドラーギ氏の可能性は日に日に高まっているとし、ドラーギ氏が、金融危機の一端を担ったと批判されている米投資銀行ゴールドマン・サックスに在籍していた経歴が邪魔することはない、との見方を示した。

 仏関係筋の間では、ゴールドマンに在籍した経歴がドラーギ氏の次期総裁就任に反対する理由とみなす声も聞かれる。しかし、それはノワイエ仏中銀総裁の可能性を残しておきたいという意向が働いているともいえる。

 仏政府高官は、トリシェ総裁に続き、フランス人が連続してECB総裁になる可能性はほぼゼロと認めている。そして、今新たな候補が登場すればドラーギ氏の対抗馬とみなされ、ドラーギ氏を押しのけて次期総裁になれる極めて強い後ろ盾が必要と指摘した。

 <弱いライバル>

 そんな条件を備えた人物は、現在のライバル候補には見当たらない。リーカネン・フィンランド中銀総裁は、おひざ元のフィンランドからそこそこ支持を得ている程度。小国ルクセンブルクの中銀総裁のメルシュ氏の場合は、すでに首相がユーロ圏非公式財務相会合(ユーログループ)の議長を務めている。

 EFSFのレグリング氏は中銀の経験を持たず、ユーロ圏債務危機をめぐる発言が災いし、すでにドイツ政府の選択肢にはない。ウェリンク・オランダ中銀は、金融危機時の自国の銀行システムへの対応を批判されており望み薄だ。

 トリシェ総裁の任期延長、あるいはドイセンベルク元総裁の時のように任期を分割することも考えられるが、関係筋によると、ユーロ圏の財務相はすでにその可能性を排除しているという。

 これまでのところドラーギ氏は固く口を閉ざしているが、ウェーバー氏離脱が伝えられた直後の独フランクフルター・アルゲマイネ紙とのインタビューで、ドイツの経済規律は他の欧州諸国の模範と称賛した。その前に独タブロイド紙が、ドラーギ氏が次期総裁になれば、ユーロは「スパゲティ通貨」になる恐れがある、と報じたことを踏まえた発言とされている。

 ドラーギ氏の支持者だけでなく敵もいるイタリアの当局者の間では、当初、イタリア人という事実がマイナス要因ではないかと懸念されていたが、いまは次期総裁就任への確信を強めているようだ。

 あるイタリア当局者は「かれのライバルは、正当化しにくい反イタリア感情によって擁立、支持されている」と指摘し「ドラーギ氏のECB(総裁)への道筋は明らか」との見解を示した。

 (執筆:Noah Barkin, Giselda Vagnoni, Daniel Flynn各記者、翻訳:武藤邦子、編集:吉瀬邦彦)

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